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恩師からの手紙
立枯は磔像に似て夏の山 紫峡
机辺の整理をしながら2016年2月1日付でいただいた紫峡先生からの手紙を読み返しています。その二ヶ月後の4月9日に召天されましたから私にとってはまさに遺言のようなお手紙です。手紙は先生の第六句集『召命』とともに送って下さったもので
「伝統作家を育てるという使命も今年が最後になります。」
と記されていました。主宰を智壽子夫人に禅譲されるお覚悟だったと思いますが、私には「みのるさん、頼みますよ」というお言葉のようにも読み取れました。
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俳句作りのエッセンス
俳句を始めると文法や季語を覚えたりさまざまな約束ごとを習得しなくてはなりません。 初学の頃は「感じる」ことよりも「覚える」ことの方が多いものです。けれどもいつまでも知識に傾いた俳句づくりをしているとやがて壁にぶつかって行き詰まり俳句を詠むことが苦しくなってきます。せっかく多くのことを覚えてもそれを活かして「新しい感覚の俳句を創りだす」ことができなければ何にもならないですね。「新しい感覚の俳句を創りだす」ためには「覚える」だけではなく「感じる」訓練がどうしても必要なのです。
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見えないものが見える俳句眼
家内の実家(広島)から徒歩五分のところに大先輩の波出石品女さんがいらっしゃるので帰省して時間があるときは必ず存問しています。おしゃべりの中でいろいろな青畝先生の逸話が聞けるからです。過日もこんなお話を聞いてきました。
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虚子選と青畝選の違い
三千の俳句を閲し柿二つ 子規
私の尊敬する虚子先生と青畝先生は正岡子規の流れを汲む師弟関係になるのですが作風は少し違うところもあります。けれども多くの弟子を導き優れた俳人をぞくぞくと育てられたという指導者としての実績には共通点が多いです。その特徴は作者としての御自身の流儀を押し付けるのではなく
“個性を見出してそれを伸ばす”
という指導法にあります。
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良い俳句を授かるための心構え
俳句は作るものではなく授かるもの
これは青畝先生や紫峡先生から繰り返し教えていただいた確固たる作句理念です。語彙力がないから…表現力やテクニックが難しいから…といって学びを諦めてしまう方もおられますが、
ちょっと待って!
と言いたいです。確かにそのような要素も必要ですが良い俳句を授かるためにはそれらよりも大切な心構えがあるからです。
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