みのるのブログ

やさしい俳句レッスン / ゴスペル俳句

やさしい季語講座

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季語は言葉として記憶するだけではなくその季語が備えている本質を知る(体験する)ことが大切です。正しい季語の知識を学ぶためにその基本的な約束事を知ることもまた上達への近道であると言えます。

歳時記はルールBookに非ず

歳時記に掲載されているか否かは一応の判断基準になりますが特定の歳時記にしか掲載されていないものもあります。歳時記に載っているから無条件に季語だとは言い切れませんし載っていないから無季だと決めつけてしまうのも乱暴です。

つるべ落としの日

つるべ落とし…だけで季語としている歳時記は多いですが、青畝先生は「日」が入っていなければいけないと繰り返し教えられました。十七文字の表現の中で「日」が連想できれば “つるべ落とし” だけでもよいと思います。

森林浴

私の知る限りにおいて【森林浴】を季語として載せているのは角川書店編の季寄せだけです。春の新緑や初秋の頃でも同じ気分があるので季語として認定しづらいことから他の歳時記からは外されているのだと思います。つまり非常に曖昧な季語だと言えます。ではどうすれば季語として使えるでしょうか?

夏の季語として使う場合、涼しさを連想できるように句を構成すればいいのです。春や秋に【森林浴】を使いたいときはその時季の季語と組み合わせて使うようにすれば問題ありません。

共感を得にくい季語

夏惜しむ

ごくまれにこのような用法の作品を見かけます。確かに歳時記には載っていますし「春惜しむ、秋惜しむ」があるのだから「夏惜しむ、冬惜しむ」もありだと考えての用法だと思いますが、季語の本質を考えたとき普通の感覚では共感を得られにくいです。快適な春や秋の季節を惜しむのは共感できますが、一日でも速く過ぎ去ってほしいと思う暑い夏や寒い冬の季節を惜しむという感覚は理解し難いです。

正しい季節感覚とともに季語のもつ本質をよく勉強しましょう。春の鴨(残る鴨)と鴨(冬)とでは全く違う季感になります。「初蝶、春の蝶、夏の蝶、秋の蝶、冬の蝶」なども然りです。夏に見たから秋に見たからというので安易に扱ってはいけません。季節によって全く風情が異なるからです。兼題でこのような季語が発題されたとき、その本質をよく理解して作らないと季感が動いてしまします。

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草花や食材は旬を詠む

ハウス栽培や養殖技術の進歩によって花や食材の季節感が曖昧になりつつありますが俳句で育まれたそれらは自然な環境で最も美しく且つ美味である「旬」を季感として詠まれてきました。従ってその季語を取り合わせるだけでその旬の季感を舞台設定してくれるわけです。「必ず当季の季語で詠む」ことを厳しく指導される方もあるようですが旬からずれた状態のそれを見たまま詠むとおかしな俳句になります。梔子の白い花が枯れて錆色になった状態を風情とするような感覚もなくはないですが初学のうちはそのような難しい俳句は避けたほうが無難でしょう。

でもいつも旬の時期に吟行できるとは限らないでしょ!

その通りです。私の場合は連想を働かせて旬の季節にタイムスリップして詠みます。記憶の引き出しから呼び起こして詠むのは虚構ではありません。連想を働かせれば、枯木に花を咲かせる…こともまた自在です。

感覚的な季語は五感で使う

涼し、温かし、春(秋)惜しむ 爽やか、麗らか

感覚的な季語は沢山ありますね。感覚的なものは季語そのものに具象性がないので具体的な事象を写生して取り合わせることが大切です。なぜなら心象描写のような主観と感覚的な季語を取り合わせても実景が連想できないからです。感覚的な季語は五感で使うとさらにバリエーションが増やせます。五感というのは、聴覚、視覚、味覚、触覚、嗅覚のことですね。「涼し」を例にとって話を進めましょう。

聴覚:耳に涼し、視覚:目に涼し、味覚:のど越し涼し、触覚:手に涼し、臭覚:香の涼し

五感を研ぎ澄まして心を遊ばせる…という意味がなんとなく理解できたでしょうか。

握手して以心伝心温かし  みのる

季語と季感の違い

極端な言い方をすれば季語は単なる単語、熟語です。季感は一句を鑑賞したときに醸し出される季節感のことをいいます。俳句は季語の有無ではなく季感の有無…という真理はそこにあるわけです。例句を揚げて具体的に考察してみましょう。

植え終へし棚田に風の生まれけり

一読季語らしい言葉は見つかりませんね。だから無季の句だと断定するのは早計です。この作品は “田植えの終わった棚田に…” という句意なので言葉としての季語は見当たりませんが 「植田」という確かな季感が宿っています。

老らくの手習を星御覧ぜよ

季語の匂いすら感じない鑑賞の難しい作品です。「結社ひいらぎ」の合評会でこの句の鑑賞がまわってきたときまったくお手上げでした。 短冊に願い事を書いて七夕の笹に吊るしますよね。先輩たちのアドバイスで 「七夕、星祭り」 の句だと気づかれたときは本当に眼から鱗の落ちるのを実感しました。

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