見えないものが見える俳句眼
家内の実家(広島)から徒歩五分のところに大先輩の波出石品女さんがいらっしゃるので帰省して時間があるときは必ず存問しています。おしゃべりの中でいろいろな青畝先生の逸話が聞けるからです。過日もこんなお話を聞いてきました。
ある日青畝先生が奥様を伴って品女邸を訪ねられたときのこと、うららかな春日のお庭をご覧になっていた青畝先生がこんな句ができたよ…と奥様に句帳をお見せになられたそうです。その句には蝶々が詠まれていたようで奥様が『蝶々などとんでいないでしょ』といわれたそうです。
そのときつかさず青畝先生が、
『じぃ〜とよう見てみぃ、蝶々が飛んでいるように見えんか?』
とおっしゃたそうです。見えないものが見える俳句眼…というのはこういうことなのでしょうかね。