先人の言葉を真似る
俳句の巧拙は語彙力次第…とよく言われます。言葉は知識として覚えているだけでは駄目で、必要な場面でごく自然に使えなくてはいけません。どうしたら生きた言葉づかいができるようになるのでしょうか。
「聞き流す英会話教材」スピードラーニングという石川遼のコマーシャルをご覧になったことがありますね。聞き取る力が身につくと自然に話せるようになるというのです。これは俳句の学びにも応用できます。好きな俳人の句集を何度も読み返します。読めない字や理解できない言葉は辞書を引いてもいいですが、あまり深く調べる必要はなく、ひたすら読み流すだけでいいです。そうすることで好きな句は諳んずるくらいに覚えられ言葉や句の調子などを感覚として吸収することができます。みのるの作品にはそうして覚えた言葉のものまね俳句がいくつかありますので例を上げて紹介しましょう。
春宵のこれからといふ人出かな 紫峡
手花火のこれからといふ玉落つる
七輪に全長のらぬ秋刀魚かな 品女
神杉の全長仰ぐ天高し
人丸忌なげし三十六歌仙 紫峡
滝道の歌碑は三十六歌仙
想を真似るのではなく言葉や調子を真似るのです。その言葉がどのようなシーンで用いられているかを原句から学びとって自分の言葉として消化することが大事です。失敗を恐れずにどんどん挑戦すればいいのです。みのるの俳句には好んで使っている言葉や言い回しがあります。一例を揚げて見ましょう。
序破急、不即不離、一穢、なぞへ、存問、といふ間に、と見る間に、踏んまへる、地団駄、堵列…等々
これらの大半はことばの魔術師といわれた阿波野青畝先生の作品から覚えた言葉です。できるだけ体言止になるように推敲して切れ味の良い作品にすることもまた青畝師の作品から学びました。失敗することも多々ありますが、それを恐れずに繰り返し挑戦しつづけることでやがて血となり肉となっていくのです。