俳句推敲法
みのるは句会が終わったあとからも推敲をよくします。吟行では多作の習慣がついているのであまり深く考えないで思い浮かんだことを速記のように句帳に記していきます。そうすることできるだけたくさんの原石を拾うのです。そしてそれを推敲という作業で玉石になるように磨くのです。数時間あるいは数日経てから作品を見直すほうが良い推敲ができることが多いです。
みのるの推敲法で意識しているいくつかのパターンがあります。切れ味の良い句にするために語調を整えることは当然ですができるだけ省略して焦点を絞ります。そして瞬間写生になるように表現を工夫します。時間の経過を詠むと余韻は残りますが切れ味を失うからです。表現法のうえでは、体言どめ(名詞どめ)、動詞どめ、を意識して推敲すると力強い句になります。
余韻のある作品にするには「かな」に代表される切れ字どめがいいですね。切れ字俳句を古いという現代俳人もいますが決してそんなことはありません。これこそが伝統で培われてきた素晴らしい表現法なのです。ただ時には「かな」どめにしないで明確に断定したほうがいい場合があります。うつぎさんの作品を例に取って学んでみましょう。どちらが印象鮮明か説明の必要はないですね。
高舞ひて星に紛るる蛍かな うつぎ 高舞ひて星に紛るる蛍あり うつぎ
「ごと俳句」を軽視する人もいますが私はむしろお勧めします。ごと…が浮かぶのは感じているという証明だからです。幼子には貪欲な好奇心があります。私達も常識、知識、理窟は捨てて幼子と同じ目線、感覚で自然と対峙して心を通わることが大事です。明日香さんは昨日の布引滝吟行でこんな句を詠みました。
滝壺の深淵魔物棲むならむ 明日香
神秘的な滝壺をじっと眺めていたら、突然 “ガバッ!” 魔物が現れ出て来そうな錯覚を覚えたのです。 こどもたちならそのようなアニメのシーンをテレビで見ているので躊躇なくそう感じるでしょう。それを思い出してください。これが心を遊ばせるいうことなのです。そこには常識や理窟は存在しません。