不調から抜け出す秘訣
不調が続くときというのは、たぶん感性がずれてしまっているのではないかと思います。 私もむかし毎週のように紫峡先生の添削指導を受けていたときに極端な不調に陥ったことがありました。
送っても送っても丸印がなく「不調!」とのみ朱書きされて返ってくる添削稿を見てはため息をついたものでした。 原因がわからないまま少し作句を休んでいたら先生から手紙が届いて次のような忠告が書かれていました。
最近のあなたは経験を積んで上手に句をまとまられるようになりました。 けれども、かつての新鮮味がなくありきたりで平凡な句になっています。 理屈や常識を離れ幼子のような気持ちに戻って、もっと破れかぶれで句を詠むようにしてご覧なさい。
破れかぶれ…という意味はよくわかりませんでしたが知らず知らずの間に無難にまとめる…という常識の罠にはまっていたのだと思います。
他の人とは違う個性的な発見をするためには、もっと時間をかけて深く深く観察し感動を得ることが大事です。
とも書かれていました。吟行ではあちこち移動せずに此処と思った場所に留まって時間をかけて心を遊ばせるという作句姿勢を覚えたのもこの頃であったように思います。
もう一つとっておきの秘訣があります。それは青畝先生の句集を何度も読み返すことです。不思議なのですがそれだけでずれていた感性を修正できるのです。スランプ脱出のためにお気に入りの句集を座右に置いておかれるといいですね。